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LANケーブルってどれ買えばいいのって話

PCがある家庭なら必ず1本はあるであろうLANケーブル、色々なメーカーから出ていてピンからキリまでの値段のラインナップが並べられており、
どれ買えばいいのか分かんねえ!高い方が性能いいのか?って人向けに、仕事でよくLANケーブル扱ってる自分がざっくりまとめてみました。

難しい話読むのめんどくせえ!結論だけ教えろ!って人のため先に言います。
10ギガの環境を組みたい!(もしくはその予定がある)って人以外は安いケーブル(カテゴリ5eもしくは6)でいいです。マジで。
10ギガって何?って思った人は悪いことは言わないので安いの買っとけって感じです。高いのはぶっちゃけ買うだけ損。
今家でインターネットを楽しんでる人の99%以上は10ギガ未満(100メガ~1ギガ)の環境にあるため、上述のケーブルで十分です。
後で取り換えるのは困難(家建てるから事前に壁に這わせておく等)な人は少しお金出してカテゴリ6Aでもいいかな、という程度。

カテゴリ7なんてケーブルが売られていますが出回っているものの大半はメーカー独自規格のいわばパチモンです。カテ5eの何倍もお金出して買う意味はほぼないです。

最近はカテゴリ6のケーブルも値段に大差なくなってきてるので、色とか柔らかさとか薄さで選んじゃえばいいと思います。
ぶっちゃけて言えばカテゴリ5e以上であればなんでもいいんだけどカテゴリ5e未満(つまり5)のケーブルなんてまず見ないので本当になんでもいいんです。

ちなみにシールドケーブル(STP,ScTP)は要りません。無遮蔽(UTP)で十分です。
ノイズが心配!って人も、よほどの理由及び環境を揃える度胸がない限りはUTPで十分です。理由は後述。

ここから先は難しい話です。面倒な人はエロゲの2週目の共通パートをCtrlでスキップするかのごとく読み飛ばして(というかページ閉じて)ください。

・そもそもカテゴリってなんぞや?って話
LANケーブルのカテゴリというのはISO(国際標準規格の組織)の一部(?)であるANSI(米国国家標準機関)の一部のTIA(通信工業協会)で定められている、
情報配線規格(ANSI/TIA-568-C)の情報配線部材の性能のことを指しています。
ISO/IEC(国際電気委員会)やJIS(みなさんお馴染み日本工業規格)でも同等クラスのものは存在するんですが、
JIS規格は一部公共機関しか使っておらず(私見)、業界ではほぼANSI/TIAを基準に語られています(海外は存じ上げません。すみません)。
LAN規格におけるJISってただのISOの和訳だし。ISO自体ANSI/TIAに追従してるだけのはず(はず)なので、あくまでANSI/TIAを基準に語る人が多いです。
つーか冒頭で使っているカテゴリ5eって表記自体ANSI/TIA基準です(JISだとカテゴリー5)。この辺の話はマジで長いので気になる人は調べてください。
うるせえカテゴリじゃなくてCategoryだろってツッコミを入れられる人はここに書いてあることを十分に理解されてると思うのでブラウザそっ閉じしてください(というより俺より詳しいと思います)
めっちゃ長くなった。
要は何Mbpsで伝送するよっていう伝送(路)規格に対して必要な配線(及び配線要素)のランクを現したものがCategory(カテゴリー)です。
このカテゴリーが上に上がれば上がるほどケーブルの性能が高くなり、お値段も高くなっていく、といった寸法です。

※正規表記では「Category」が正しいですがいちいち書くのメンドクサイので通例に倣ってカテいくつとかCatいくつとか省略(慣用的な表現)します。

・カテゴリの話をする前に伝送速度と規格について
現状、LANケーブルを使用する通信で広く使用されているのは
10Mbit/sで通信する10BASE-T
100Mbit/sで通信する100BASE-TX (これのことをメガと言ったりすることもある)
1Gbit/sで通信する1000BASE-T (これのことをギガと言ったりすることもある)
10Gbit/sで通信する10GBASE-T
の4つで、10Gの壁が高すぎたためか後述する2.5GBASE-T及び5GBASE-Tが後追いで策定されています。
皆が家で楽しんでいるインターネットのサービスは99%以上が1Gbps以下です。これが先述したLANケーブルはCat5eでいいと言い切った理由(詳しくはケーブルのカテゴリの部分で説明)。
10Gbpsのサービスを提供しているのは現状NURO のみで、提供されているのは東京・神奈川の一部エリアのみです。(自宅は提供範囲外でした)
現状、このサービスを使用しない限り、使用する通信規格は1000BASE-Tまで(ローカルでPC-ストレージ間等で10G通信する場合を除く)のため、それに対応するケーブルであるCat5eで十分、といった結論です。
また、PCやハブ(スイッチ)も意図的に10G対応の製品を買わない限りは殆どが1Gbpsまでしか対応していないため、(17年現在、値段が全然違うので偶然10G対応製品を掴んでた、なんてことは考えにくいです)10G対応!なんて書いてあるケーブルに無意味に飛びつく理由はないのです。


・Cat5e、Cat6、Cat6A、Cat7の違い
①Cat5e(enhanced Category 5)
Cat5の改良型で伝送時の周波数100Mhzまでの伝送に対応したケーブル。
10Mbit/sで通信する10BASE-T
100Mbit/sで通信する100BASE-TX
1Gbit/sで通信する1000BASE-T
全てに対応したスグレモノです。日本の家庭内のLANケーブルの99%以上はこれで十分です。
10Gbit/sの壁にぶち当たったCat5e君は、去年IEEE Std 802.3bz-2016として規格化された2.5GBASE-T及び5GBASE-T(一部条件あり)で頑張り続けることが決定しました。
10Gの壁こそ破れなかったがまだまだ未来が見えているCat5eくんの未来は明るい。( ;∀;) イイハナシダナー

ここから余談。通称cat5(かてご)なんて言われていますがCategory5は5eよりも下位の規格で、先述した1000BASE-Tに"完全"対応していません。
ですが、正しい意味でのCat5のケーブルは規格がかなり古く淘汰されているため出回っておらず、業界人であればCat5と言えばCat5eのことを指しているのが暗黙の了解です。もやもやするかもしれませんが、そういうものです。
自分自身5年働いていて(慣用的な意味での)Cat5と言って「(本来の意味での)Cat5ですか?」と聞き返されたことは一度もありません。
でもなんか嫌なので自分は「Cat5e(もしくは5e)」と言うようにしています。

②Cat6
周波数250Mhzでの通信に対応し、1Gbit/sで通信する1000BASE-T及び1000BASE-TXに完全対応。
先ほどの解説では登場しなかった1000BASE-TX(末尾にXがついてる)、なぜ説明しなかったかというと普及しなかった死に規格だからです。
1000BASE-Tと比べて回路構成がシンプルになり価格が抑えられる、というメリットを有していたものの、既存の配線(Cat5e)から変更することなく1Gbit/sの環境を構築出来る1000BASE-Tの利便性には敵わず、爆発的に普及した1000BASE-T対応の機械の量産による低コスト化には勝てずあえなく死亡した規格・・・らしいです。
僕が働き始めた頃にはとっくに死んでた規格のため、詳しいことは存じ上げません。
死に規格なのに工事担任者の試験とかではいまだに出題されます。いらねーよこれ。

一部条件をクリアすれば制限長有りで10GBASE-Tでの通信も可能のため以前はCat6を採用するのも選択肢としてありましたが、Cat6A(後述)のUTPが普及してきたため現状10G環境を構築するにあたってCat6を選ぶ意味は薄いです。
標準化された(が、まだ普及していない)5GBASE-Tには対応しているようなので、悪くはないかなと。
悪いイメージばかり話してしまいましたが1Gbpsに対応しておりケーブルの性能自体はCat5eより上で且つ値段もそんなに変わりはないので、何も考えずに買って大丈夫なケーブルの一つです。

③Cat6A(Augmented Category 6)
ここから用途が変わり、値段も上がってきます。考えなしに買うとただのお金の損になるラインの一つです。
が、現行主流の1000BASE-Tにはもちろん対応しており未来も明るいケーブルのため、将来性を見据えるのであれば買うべきケーブルです。
UTP(STPもあるけど。)でありながら周波数500Mhzを用いて通信が可能で10GBASE-Tに対応しており、先述したNUROで10Gbpsのサービスを楽しむのであればCat6Aのケーブルが必要です(NUROのHPにも記述あります)
自分が入社した5年前はまだケーブルの種類が少なく完全なUTPはなかった記憶がありましたが、現状では広く普及しており、10G環境を構築する(予定)ならば最適(というかこれ以外に選択肢がほぼない)のケーブルです。出始めた当初よりだいぶ安くなったなぁという印象。
繰り返しになりますが、1000BASE-Tには対応していますが先述したCat5eでいいため、「将来性を見据えないのであれば」Cat6Aを選ぶ理由は少ないです。

④Cat7(とCat7A)
最も注意すべきケーブル、というか店に出回ってるCat7ケーブルは99%以上パチモンなので、お高いCat7ケーブルを買う理由ははっきり言ってありません。
10ギガビットイーサネットを実現するにあたり、より厳しい周波数特性をクリアするためにSTP(シールドケーブル)を使用したケーブルで、周波数600Mhzまで取り扱える(Cat7Aは1000Mhz)ようになったケーブルです。
ここだけ聞くと聞こえがいいのですが、ISO/IEC 11801において定められているCat7のケーブルは、これまでのケーブルで使われていたRJ45(厳密に言えば8P8C)コネクタとは違うコネクタを使用すること(TERAもしくはGG45)が定められています。
が、市販で出回っているCat7ケーブルはそんなことは知らんと言わんばかりにRJ45コネクタが取り付けられており、国際規格から外れたメーカー独自のケーブルとなっています。

TERAコネクタは物理的な形状がRJ45と違うため、そもそも既存のNW機器に対して使用できません。(日本でも取り扱ってる代理店は存在しますが、恥ずかしながらTERAコネクタを使用するNW機器を触ったことも見たこともなく、日本では普及してないものと思います)
GG45コネクタはRJ45と物理的な形状の互換性があるため既存のNW機器に対して刺さります。

なんやねん!CAT7のGG45ならCat6Aの上位互換やんけ!と思うかもしれませんが、ここからが大きなポイントで、GG45には実は既存の8ピンに加えた4ピンがあり、600Mhzの性能を満たすにはこの4ピンも使用する必要があります(あるらしいです。これも恥ずかしながら写真で見たのみで現物見たことありません)。
互換性のある既存の8ピンを使用しての通信はMode1と言われ、性能としてはCat6相当(100/250Mhz)のため、既存のNW機器に刺すために使うのではやっぱり意味がありません。
10Gの環境を構築するのであれば面倒なアース処理(後述)のないUTPを使うのがベストで、それはCat6Aでクリアしています。
なので、勝手にRJ45を取り付けてしまったパチモンはもちろん、物理的に互換性のあるGG45コネクタを取り付けたCat7ケーブルを取り寄せてまでCat7を選択する意味ってなんなの?って話です。

店頭で店員さんにドヤ顔で知識披露するつもりはないし各社メーカーに問い合わせるつもりもないので生暖かい視線で見ていますが、
家庭用ではなく企業用で使用されている僕の中でおなじみのケーブルメーカー様(日本製線、富士電線、通信興業など)はこのようなパチモンCat7ケーブルは一切取り扱っていません。
規格を理解した上でそれにあったケーブルのみ販売している、というのが実情です。
なのでバなんとかローとかサン〇サプライだとかパチモン出してるメーカーは個人的にあまり信用していません。
コネクタの結合部分が独自規格ってだけでケーブル自体の性能は満たしているだろうから、ここまでこき下ろす理由もない気はするけど。

ここまで話しといてアレですが、この規格周りの話を詳しく理解していないお客さんが「Cat7なら独自規格でもCat6Aより上のはずだろう!」と言って譲らず、パチモンケーブルを引かされた経験は何度かあります。
商社の方にも「(規格の話を)納得した上で買う」と言って買ってます。クソ高いから売上は上がるしよくわかってない人達が買ってくれるから売るのやめらんないのかなぁ、と。

これ以外にCat8ケーブルなんてものが策定され始めており、40G通信で使用するべく対応する試験機なども販売され始めていますが、
和訳分があまり出回ってないのと、40Gは現状光で繋いでるのが主流なため、まだ勉強が足りてないのが実情です。
家庭用でもピュアオーディオ用で販売が始まってるようですが、少なくとも、「性能がいいはずだ!」という理由だけでバカ高いケーブルを買うのは人柱&自己満足以外の何物でもないと思います。偏見。(オーディオとLANの話はちょっと違うとこなのでここでは割愛します)

・UTPとSTPについて
最初のほうでシールドされてないケーブルをUTP、シールドされてるケーブルをSTP(ScTP)と説明し、UTPでいい!と言いましたが、その辺について軽く説明。(ちょっと勉強不足な面もあるので軽くで勘弁)
まず最初にイメージするのがシールドされるケーブルのほうがノイズに対して強いんじゃ?という印象を持つ人が多いと思いますが、シールドされたケーブルを正しくアース処理しないとかえって外来ノイズを拾うなどの電波障害を起こすと言われています。
正しくアース処理しろってなんやねんって話になるかと思いますが、まず大前提として接続される機器のポート側にシールド用の受けがあることが条件で、そのシールドの受け部分からアース端子を通って接地するわけですが、家のコンセントについてるような雑多なD種接地とは別の接地方式を用いる必要があります。
この辺の話は話すと限界があるので気になる方は規定(TIA/EIA-568-B.1-2)について調べていただけたらと思います。
ポート自体が銀ピカに光っているものもあると思うけどただのメッキでアースに落ちてないなんて話はままあることで、STPを使うのであれば機器選定から接地までしっかり考える必要があり、一般家庭で実現することは簡単ではない(洗濯機につけるようなアースと混在させない)ため、多少の外来ノイズを許容してでもUTPを使うほうがいいと思います。
ノイズが気になるのであれば対ノイズ性能最強の光ケーブル(ファイバ内を光で通すため電磁波の影響を受けない)を使って終端メディアコンバータで受ければいいわけで(光のNIC増設して直で受けてもいいけど)、面倒なことしてまでSTP選ぶ理由ってなんぞ?って感じです。

ちなみに僕が施工に携わっている現場ではそんな立派な通信用アースなんて確保されておらず、なんちゃってな機械室なので、ちゃんとした設備があるところで学びたいなぁというのが本音です。



ものすごく長く書いてしまったけど、要点としては
・基本はCat5eで十分
・将来性を見据えるのであればCat6Aを選択するのもあり
・Cat7(やシールドケーブル)を選択する理由は現状ない
の三つです。
よほどの粗悪品をつかまない限りは1Gbpsでの通信が出来ることには変わりはないので、財布と相談しつつ、好きなケーブルを買っていただけたらと思います。

※詳しい方でこの記事読んでる方は、ここ違うんじゃね?こういう新しい規格策定されてるよ!というツッコミあったらtwitterのほうでもコメでもなんでもいいのでぜひ教えてください。

by take_k84 | 2017-06-01 22:48 | 規格・技術的な話とか


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